仙人池の剱岳2017/10/04 16:48

仙人池からの剱岳
 裏剱の仙人池、池ノ平周辺は登山口の室堂や欅平から丸2日かかり、北アルプスでも最も奥まった所にある。行くのが大変にもかかわらず多くの登山者が訪れるのは、他では見ることのできない美しい景色を味わうことができるからだ。
 裏剱への山行の二日目、剱沢から標高差約600mの急坂を登ると、仙人池と池ノ平の間に有る仙人峠に着いた。この日は池ノ平で宿泊の予定だった。仙人峠から左手の剱岳の荒々しい景色を見ながら高低差の少ない道を進むと池ノ平に着いた。池ノ平は小鞍部の別天地で、頭上には剱岳の峰々、眼下には平ノ池を見下ろす場所だった。テント設営後、10分ほど下って平ノ池へ行ってみた。下り斜面には白い穂をたくさん付けたチングルマが紅葉していた。池手前の平坦地では、今年は雪が多かったせいか、まだミヤマキンポウゲがたくさん咲いていた。池のほとりの木道まで行くと、かすかな風に揺れる荒々しい剱岳が水に映って見えた。
 翌日も快晴だった。日の出とともに剱岳が赤く染まった。多くの登山者が景色に見とれていた。小屋の仙人峠寄りの登山道には50-70歳の男性が三人ほど三脚を使って写真を撮っていた。思わず隣りのテントのH氏に「良い感じですね」と声をかけた。
 テントを撤収し、仙人池へ向かった。まぶしい日差しの中を50分あまり歩くと仙人池に着いた。風の無い日だった。池は鏡のようで、剱岳が逆さまに映り、まるで剱岳が二つ有るかのようだった。30代の男性が三脚にカメラを取り付けて剱岳の写真を撮っていた。「風が無くて良いですね」と声をかけると、「今日は最高ですね」との返事だった。