白神山地の黄葉のブナ林2017/10/19 13:05

小岳の黄葉のブナ林
 白神山地の青森・秋田の県境近くに小岳は有った。世界遺産指定地域からは、わずかに南側に外れていた。とは言え、森自体は連続してつながり、指定地域か否かは、どちらかと言うと人間の都合で決めたものなので、小岳でも美しいブナの森を楽しむ事ができた。
 舗装された車道は、ダム湖に面してキャンプ場の有る素波里(すばり)園地までだった。以後は凹凸の激しい林道を運転して登山口に向かった。秋は落ち葉も多く、特に大きな葉っぱの場合は近づくまで石かどうか分からなかった。本物の石も落ちているので注意深く時速15km程度で走った。林道を約21km、1時間45分かけて走ると、ようやく登山口に着いた。登り始める前に運転で精神的に疲れた感じがした。登山口には今までの林道の状態からは信じられないほどきれいなトイレが有った。入口の寄付ポストに100円を入れて、ありがたく使わせてもらった。
 目論見通り、ブナの黄葉はきれいだった。ブナの森を楽しみながら登った。登るにつれて日が陰り、あいにく山頂に着いた時は曇り空になった。風も有って少し寒かった。雲が切れている西の方には、意外な近さに日本海が日の光を反射して輝いていた。目を東に転ずると、雲の切れ目から日が差して、スポットライトのようにブナの黄葉が丸く浮き上がっているところが有った。黄色いスポットライトは雲の動きにつれて、ゆっくりと動いて行った。ほどほどに展望を楽しんでから下り始めた。しばらく下ると日が差し森が明るさを取り戻してきた。黄葉はいっそう鮮やかに輝き出し、まるで印象派の画家が描く絵の中を歩いているような感じになった。
 帰りも慎重に運転した。1時間40分運転して素波里園地に着き、ほっとして一休みした。この日は、どちらかと言うと山登りより運転の方が疲れた一日だった。