栗子山北方の稜線を歩く2018/05/08 18:13

栗子山北方の稜線を歩く
 ゴールデンウィーク前半は山形県の栗子山に行った。残雪の稜線を縦走しようとの趣向だった。4月に暖かい日が多かったのでヤブが多いのではと心配した。
 砕石場から林道を旧栗子隧道に向かって登っていると40歳くらいの単独行者が下山してきた。精悍な出で立ちで、ガイドをしているとの事だった。、「5月7日にツアーをするけれど少し心配になって下見に来た」と話していた。栗子山から稜線を北に向かうことを告げ、「今年は雪は多いですか」と尋ねると、「少ないですね。冬には雪はたくさん降ったのですけれど。福島県側に雪は少し残っているでしょうけれど、ヤブこぎの連続でしょうね」との話だった。旧栗子隧道前まで登りテントを張った。
 翌日は、踏み跡を赤テープに従って稜線へ登った。稜線に出ても雪はなく、笹ヤブをかき分けながら山頂に着いた。潅木に囲まれた山頂からの展望は無かった。先へ進むか少し迷ったが、ここであきらめるのは早いので、もう少し進むことにした。
 山頂からヤブこぎすること10分で意外にも広い雪面に出た。稜線には雪の尾根が続いていた。以後、ガイド氏の予想には反して、思いの外、快適な雪の稜線歩きを楽しむ事ができた。

大峰奥駈道2018/05/12 17:00

ツツジを見ながら大峰奥駈を歩く
 GWの大峰奥駈歩きは、笠捨山から釈迦ヶ岳まで、通常とは逆コースの北へ向かっての縦走をした。初日は十津川村から「21世紀の森 森林植物公園」を経て奥駈道に出た稜線の古屋宿跡まで登って幕営した。二日目は地蔵岳の険しい鎖場を登り、笠捨山で展望を楽しみ、行仙宿山小屋を通って、夕方近くには怒田宿(ぬたじゅく)跡に着いた。水も無くなってきたので、この日の幕営に備えて水を汲むことにした。水場への踏み跡は無かった。しばらく道を探し回ると水場を示す倒れた標識が有った。ここを下れば水場だとようやく分かった。足場の悪い下りで、ちょうど沢登りの詰めを逆に下る感じだった。途中で同行者には戻ってもらい一人で水汲みに行くことにした。やがて涸れ沢になり、更に下ると最後に水が勢いよく流れている水場に着いた。標高差約90mの下りだった。約6リットル汲んで怒田宿跡に登り返した。
 さて怒田宿跡から出発しようとするとストックがないことに気が付いた。どうやら水場に忘れてきたらしかった。仕方なく再度標高差90mを取りに戻った。ストックを持って登り返し怒田宿跡に戻ると、ちょうど白装束を着た修験者が入れ違いに出発するところだった。上で待っていた同行者によれば、ここは行場になっていて、修験者は5分ほど般若心経を唱えていたとの事。熊野本宮大社まで行くとの事だった。この山行で修験者を見たのは初めてだった。この日は次の倶利伽羅(くりから)岳の手前まで行き幕営した。翌日は平治の宿、持経の宿と通り、嫁越峠で幕営した。時々熊野本宮方面へ縦走する重たいザックを背負った登山者とすれ違った。
 三日目、嫁越峠から釈迦ヶ岳へ向かっていると、30歳位の若い修験者とすれ違った。修験者の割には細身で弱々しい感じだった。我々を見て驚いたのか「初めて人に会った」と言われた。熊野本宮まで行くとの事だった。どこから来たか問われ、間違えて「姫越峠から来た」と答えてしまった。「ああ嫁越峠ですね」と訂正された。意外にも何度も奥駈を歩いたことのある修験者らしかった。
 奥駈道は世界遺産に登録されているが歩く人は少なめだった。釈迦ヶ岳を除き日帰りの人は少なかった。外国人らしき人にも会わなかった。ただツツジはきれいで歩くには一番良い季節だった。

八丈富士のお鉢巡り2018/05/18 18:08

八丈小島を見ながらの お鉢巡り
 八丈島の朝は土砂降りだった。南東の風が強く、予定の青ヶ島への船は欠航だった。それでも8時頃には雨もやみ青空が出てきた。前日登れなかった八丈富士の雲も取れそうなので一日遅れで登ることにした。宿近くのお店で昼食を調達した後、タクシーに乗って七合目の登山口に向かった。登山口で運転手に写真を撮ってもらってから登り始めた。
 登山道は階段の道で、1時間足らずで火口壁の一角、お鉢巡りの起点に着いた。風が強かった。霧になったり晴れたりして視界はしばしばさえぎられた。火口内にある神社を往復後、右回りに山頂へ向かった。岩が多く風にあおられながら進んだ。アベックの観光客が「これはやばい」と良いながら途中で引き返して行った。ようやく着いた山頂には先着の35歳くらいの男性ハイカーが一人いた。強風の中、我々も腰を下ろして昼食休憩にした。先着ハイカーが下山して行った後、入れ違いに20歳代の男性二人組が登ってきた。二人組はお鉢巡りをするつもりとの事だった。
 山頂から引き返そうかと迷っていたが、意を決して我々も進むことにした。時折、風が強くなり立ち止まって強風をやり過ごした。幸い山頂から先の道は比較的なだらかだった。危ない箇所は特になかった。八丈小島の展望を楽しみながら思ったより楽に一周できた。
 お鉢巡り後、帰りは麓の集落まで歩いて下った。集落に着いてコーヒーでも飲もうと喫茶店をのぞいたら、あいにくと休憩時間だった。仕方なく港まで歩き、自動販売機で購入したペットボトルのコーヒーを飲みながら海を眺めて一日の疲れを癒やした。

青ヶ島2018/05/19 18:56

青ヶ島三宝港
 八丈島からの50人乗りの船は25人の乗客で少し混雑していた。周囲の崖がコンクリートで固められ、要塞のような感じのする青ヶ島三宝港には13時過ぎに着いた。集落は標高約300mに有り、宿も集落に固まっていた。港から歩くと1時間半くらいかかってしまう。大部分の乗客はレンタカーを借りていて港で説明を受けていた。我々は宿の車で一足先に出発した。
 店が一軒だけの青ヶ島では、宿は三食付きが基本だった。すっかり空腹になった我々は、集落への途中、標高100mほどのカルデラ内に有る蒸気釜に案内された。蒸気釜は自然に吹き出す蒸気を利用したお釜だ。宿がジャガイモ、くさや、ゆで卵などを暖めて準備しておいてくれた様子だった。蒸気釜の横のあずまやで、おいしくいただいた。意表を突かれた昼食だった。
 蒸気釜から1時間余り歩くと宿に着いた。合計7人の客だった。4泊の釣り客二人、2週間あまり滞在の釣り客1人がいた。一泊だけの滞在は我々も含めた観光客4人だけだった。宿の周囲ではホトトギスが鳴いていた。翌日は宿から歩いて最高点の大凸部(おおとんぶ)に登った。前日訪れたカルデラが下に見えた。燕が飛び回り、渡りをする蝶、アサギマダラが舞っていた。いったいどういう経路で渡ってきたのかしらと思った。
 帰りの船は20人の乗客で、ほとんどが行きの船で見た顔だった。減ったのは釣り客と仕事で来た人たちだけだった。

市民に愛される千歳山2018/05/25 18:55

千歳山山頂
 21日の月曜は山形市内の千歳山に登った。山形在住の88歳の方と待ち合わせて案内してもらった。数日に一度登っているとのことで先週は3回登ったとの事だった。
 稲荷神社前から赤いたくさんの鳥居をくぐって登り始めた。所々にヤマツツジが赤く咲いていた。アカマツも多い山だった。害虫の被害で枯れてしまった木が多いとの事だった。枯れた木は切り倒されて切断された後、ビニールで包まれて害虫を駆除されていた。山に生えている木とは言え、市民に親しまれている場所だと、手入れも大変なものだと思った。山頂手前には展望台が有った。展望台を設定した頃より回りの木が大きくなったとの事で、木の丈が低いところからは雪が多くて真っ白な月山が見えた。
 山頂にはベンチが有った。いただいたロールケーキを食べながら、座って休んだ。しばらくすると老夫婦が登ってきた。84歳との事だった。
 下りは反対側の万松寺(ばんしょうじ)へ向かった。足元にはマイヅルソウが咲き、見上げるとホオノキには白い大きな花が咲いていた。

サクランボの果樹園を水晶山へ2018/05/26 17:39

果樹園と月山
 水晶山は天童市と東根市の境に有る山だ。さくらんぼ東根駅前から仙台行きの都市間高速バスに乗って5分余り、一つ目の東郷で下車した。タクシーもレンタカーも使わないとの制約を課すと、このバス停を利用して登山口まで1時間以上車道を歩くことになる。
 途中には、さくらんぼの果樹園がたくさん有った。収穫時期は6月なので、まだ実は緑。おいしくなるのはこれからだった。サクランボは雨に濡れると商品価値が落ちるので収穫時期にはビニールの屋根をかぶせるらしい。屋根を付けるのはこれからの果樹園が多かった。川の近くになると果樹園は終わり、田んぼになった。視界が開け、月山や大朝日が白く見えた。
 登山口からはミズナラの森を登った。1時間ほど登ると山頂に着いた。東側に奥羽山脈の山々が見えた。昼食を食べていると30歳くらいの男性登山者がやってきた。挨拶をするとすぐに反対側の登山道に向かって下って行った。愛想の悪い人だなと思っていると、すぐに登山者は我々の所に戻って来て「こちらからは鳥海山が見えますよ」と教えてくれた。行ってみると、鳥海山がうっすらと見えた。
 帰りも東郷からバスに乗ってさくらんぼ東根駅に戻った。行きには気付かなかったが駅前には観光用にサクランボの木がたくさん植えられていて、実が赤くなりかけていた。駅近くの図書館では地元にゆかりの画家の展覧会が開かれていたので行ってみた。図書館では学校の授業が終わった時間のせいか多くの高校生が閲覧室を利用していた。サクランボの果樹園と言い、図書館と言い、なかなか活気のある町で好感を覚えた。

東黒森山に登る2018/05/28 21:34

みこくぼ沼のレンゲツツジ
 山形市の西方にある東黒森山は山麓が県民の森になっていて小さな沼がいくつか有った。平日に2本だけ有るバスで終点の荻の窪まで行き45分ほど歩くと県民の森の大沼に着いた。平日とあって静まりかえった大沼には釣り人が一人いるだけだった。
 大沼を半周して次の家族広場まで行くと、別の沼「みこくぼ沼」が有った。沼の周辺の広場にはレンゲツツジが咲いていた。
 家族広場の裏手から山道を標高差150m余り登ると東黒森山山頂に着いた。あいにくと以前有った展望台は取り壊され、小屋だけが残っていた。小屋の横に置かれていた長い避雷針だけが元々の展望台の高さを示していた。周囲の樹高が数メートル有るので良い展望は得られず、北の一角だけに遠くの山が見えた。展望はあきらめ仕方なくツェルトを敷いて昼食休憩にした。池から登って来たのかトンボが数匹飛び回っていた。
 2本有る登山道のうちのもう一方を通って元の大沼に戻った。結局、この日は山中では人に会わなかった。大沼から車道を下ってバス停に戻った。帰りのバスには意外にも乗客がもう一人、70歳くらいの男性がいた。