ネパールの もう一人のガイド2018/12/05 13:19

P氏を先頭に氷河へ向かう
 ダウラギリトレッキングのコース案を作ったのはガイドのPさんだった。前半は山村を巡りながらダウラギリを遠望し、後半はダウラギリの絶壁を間近に見ながら氷河まで歩く好コースだった。P氏にはテントの向きに気も使ってもらった。入口を傾斜の低い方にし、出入りする場所が狭くなってしまう場合は90度回転して張り直してくれた。温泉では、最初にポーター達が張っていた場所が湯船から細い坂道を30m程登った管理棟の前だったのを、湯船やトイレに近いあずまやの中に張り直してくれた。あずまやの中は狭い場所で、30cm位の大きな石がテント横にぶつかっていたので、持ち上げて脇に移動してくれた。雪の付いた下りでは、苦心しているメンバーにP氏が持参の軽アイゼンをつけてくれた。
 P氏は日本語も上手で我々の通訳にもなってくれた。帰りの村では、可愛い5-6歳の子供達3人が寄ってきた。こちらから「ナマステ(こんにちは)」と挨拶をすると、「ナマステ」と返事を返された。ところが、そのうちの一人から「Give me sweet」と言われた。「ろくでもない言葉を覚えて」と独り言を言いながら子供達から遠ざかると、聞いていたP氏が「お菓子をほしかったんでしょう」と子供達のために言い訳をしていた。P氏の優しさが垣間見えた思いがした。
 山道の途中で休んだ時に、メンバーのサングラスのレンズ片方がいつの間にか外れて無くなっていた。回りには見当たらずあきらめて出発することにした。全員出発後、P氏は何も言わずに一人探しに戻ってくれた。どこまで戻ったのかしらと心配しているうちに30分程してから追いついて来た。あいにくとサングラスのレンズは見つからなかったとの事だった。
 最後の宿泊の打ち上げ前には、挨拶で使うためP氏からネパール語の「また会いましょう(ベタウンラ)」を教えてもらった。せっかく教えてもらったのに踊りで盛り上がったため挨拶はせず、「ベタウンラ」も使うことは無かった。最終日、迎えの車に乗り込みポーター達と別れる時、P氏がこっそり「昨日使わなかったけれど、また会いましょうはベタウンラです」と思い出させてくれた。ポーター達に「ベタウンラ」と言いながら手を振って別れを告げる事ができた。