誰にも会わなかった経ヶ峰2014/12/01 21:37

経ヶ峰山頂
 土曜は三重県の経ヶ峰に登った。津新町からのバスは5人ほどの乗客で、登山者はもう1人30歳台くらいの女性の単独行者がいるだけだった。このバスは登山口へ行くためには途中の「安濃総合庁舎前」で接続している支線のバスに乗り換える必要があった。乗り換えの時に雨が少し降り出していた。小走りでバスを乗り換えると、女性登山者もすぐ後から支線バスに乗り換えてきた。
 登山口の仲ノ郷にバスが着いたときには本降りになっていた。バスを下りるためにお金を払おうとすると、すぐ後から運転手のところに来た女性登山者は「私はやめようと思います」と運転手に伝えていた。「だったらこのまま乗って行って帰りのバスで帰ったら」と運転手が勧めたので、女性登山者はこのままバスに乗り続ける事にした。私の方は、わざわざ三島から三重県まで来てそう簡単に引き返すわけにはいかなかった。しかも午前中の降水確率は確かに60%だが午後は20%の予報だった。「私は行きます」と運転手に伝えたところ、びっくりした様子で「傘を貸しましょうか」と言われた。傘を借りてどうなるものでもないので「カッパをもっているから」とお断りして下車した。そして急いで横のお寺の軒下に駆け込み、走り去るバスを見送った。軒下で20分ほど雨宿りし、少し小降りになったところでレインウェアを着て出発した。
 あいにく雨の上がりは遅く、山頂に着いたときも霧雨だった。視界は得られず風も強かった。早々に山頂は引き上げ、5分ほど下った避難小屋で昼食を食べた。避難小屋で一休みして下り始める頃にようやく晴れてきた。
 帰りのバスには他の乗客はいなかった。運転手に「山頂の天気はどうでしたか」と質問され、行きの運転手と同じ人だと気がついた。どうやらこの運転手は、一日、この支線の区間を往復しているらしかった。なるほど傘を借りたのなら帰りのバスで返せば良かったのかと思った。「山頂は霧でした。もう1-2時間早く天気が回復すれば良かったんですけれど」と答えた。「どちらからですか」と聞かれたので「静岡から」と答えると、運転手は「引き返した女性登山者は神戸から来たんだって。今日はシティホテルに泊まって明日は鈴鹿の山に登るって言っていた。あちこち相当登っているようでしたよ。」と教えてくれた。「それは遠くからせっかく来たのに天気が悪くて残念でしたね」と答えた。
 そんなこともあり、結局、この日、山中では他の登山者には会わなかった。

伊勢の山2014/12/05 22:39

伊勢神宮内宮への下りで
 週末に伊勢の朝熊(あさま)山に登った。この山は地形図では朝熊ヶ岳と書いてあるが、現地の案内板などには朝熊山と記載されている。近鉄鳥羽線の朝熊駅近くの登山口には40-50台の車が駐車してあり賑わっている様子だった。登り始めると次々下山してくる登山者とすれ違った。
 山頂には神社があり、広場になっていた。伊勢湾入口の島々が見えた。島の名前を調べようと20万分の1地形図を広げようとしたら隣りのベンチにいた登山者が、「あれが神島です。」と教えてくれた。どうやら何度もここには登っている地元の人らしかった。「大きいのが答志島。こちらが菅島。」 最初に教えてくれた神島は小さい島で、なんで小さい島から先に紹介するのだろうと少し奇異に思った。
 山頂の15分ほど先には展望台があった。車道が通じていて広い駐車場があり観光バスが何台か停まっていた。どうやら伊勢参りと合わせてこの展望台にもやってくるらしい。山登り愛好家に取っては、人が多いのはあまりおもしろくないので早々に引き上げた。帰りは静かな道を通って伊勢神宮の内宮へ下山した。紅葉がきれいだった。内宮に着くと今までとは打って変わって大勢の人がひしめく参道の混雑に閉口した。
 帰りの近鉄電車に乗りながら駅で入手した伊勢の観光パンフレットを読んだ。伊勢湾の島まで紹介してあった。伊勢湾の入口にある島は三島由紀夫の「潮騒」の舞台だったことは、おぼろげに記憶していたが、どうやらその島が神島だったようだ。隣りにいた登山者が最初に神島を紹介したことに、ようやく合点がいった。

東床尾山の路線バス2014/12/31 09:34

東床尾山山頂
 12月29日に兵庫県北部の東床尾山に登った。和田山駅からのバスは約1時間後だった。時間を有効に使うため行きはタクシーに乗った。登り始めると途中から雪が出てきた。次第に深くなる雪に最後はワカンを付けて登った。山頂は約30cmの積雪だった。木が無く、展望が良かった。平地は雪がなく茶色だった。青空で周辺の雪の白がまぶしかった。
 帰りはバスに乗った。バスの運転手は話し好きで、「山に登ったのですか?」と話しかけてきた。「ええ、山頂は30cm位雪が積もっていました。」と答えた。どちらからと聞かれたので「静岡県から」と答えると、富士山に登ったことがあるとのこと。他にも観光バスの運転手として富士五湖や伊豆にも行ったことがあるとの事だった。遠くは下北半島の恐山や指宿まで運転して行ったらしかった。「修善寺の温泉は良いですねぇ。伊東より温泉地らしい雰囲気が有って」と言うので「実は三島からなんです」と話した。運転手は「三島の駅前に公園が有るでしょ。何て言ったけなあ。」「それは楽寿苑ですね。」「そう、その楽寿苑。バスの駐車場が無くてねえ。頼み込んで中に入れさせてもらって駐車したんだ。回すのが大変でねぇ」と話の花が咲いた。
 「電車の時間は大丈夫ですか?」と聞かれたので「49分なんです」と答えると「このバスは44分着なんで大丈夫だ」との返事だった。途中で道の反対側で手を上げているおばあさんがいた。乗るのかと思ったら、運転手に差し入れをしていた。「いつもくれるんですよ。この前お返しをしたら、またくれるようになってねぇ。」なかなか人気の有る運転手のようだった。
 道草を食っているものだから少し遅れ気味になり、最後は路線バスにしては、やけに速いスピードで走って、駅には定刻に着いた。「どうもありがとうございました」とお礼を言って下車した。