地元で愛される蕎麦粒山2010/11/08 20:10

蕎麦粒山のブナ林の黄葉
 山登りに行くのに、自治体の補助するコミュニティバスに乗っていく人は、きわめてまれだろう。本数も少ないし、山登りに都合の良い時間に便が有るとも限らない。車で行く方が、よっぽど効率的だ。が、実際は効率が悪くてもバスで行くと別の楽しみもある。
 週末の蕎麦粒(そむぎ)山にもコミュニティバスで行った。1時間乗っても300円とは実に安い。バスを下りて登山口の駐車場までは約1時間の歩きだ。登山口駐車場には紅葉の盛りと言うのに3台の車があるだけだった。荒れ果ててヤブにおおわれた林道を登って行くと単独行とすれ違った。あやうく気付かずにすれ違うところだったが「こんにちは」と声をかけられて気が付いた。「まだ、上に人がいますか」と聞いたところ「一人すれ違って反対側に下りて行った」との返事だった。登山道は1本だけと思っていたので、「反対側にも道が有るのですか」と聞いたところ、「自分も反対側から登って来た」との事。よく聞いてみると、周遊できる道が有り、反対側を下山すると駐車場のところに直接出るらしかった。「ヤブがひどいですね。ここを往復するのは大変でしょうね」と言われた。どうやら反対側の方がヤブは少ないらしかった。
 林道終点で幕営した後、翌日は山頂に登り、教えてもらった反対側の道へ下山した。途中のブナの森は黄葉の盛り。誰もいないのに思わず「すごい」と声を出してしまった。快適な道を下り予定より2時間ほど早く駐車場に下山した。、紅葉の盛りと言うのに、二日目は駐車場の車は無かった。結局、二日間の山中で会った登山者は初日の一人だけだった。
 集落に戻りバスを待っていると隣の民家から50歳くらいの男性が出てきて、「そむぎに登ったのか。良く登るねえ~。私なら10万円もらっても登らない。」と声をかけらられた。「紅葉はきれいだったですよ」と返事すると「紅葉なら下からでも見えるよ」との弁。バス停向かいには酒屋が有ったのでビールを買いに入った。店の女性にも「そむぎに登ったの~。一番早く雪がつくんですよ。ほら、正面に見えるでしょう。朝、戸を開ける時、雪が付いたか必ず見るんです。今年も10月20日ころに一回雪が積もったんだけれど、すぐに融けたんです。きつい山なんでしょ。私は一生登らへん。」と言われた。バスに乗ってからも運転手に「そむぎに登ったんですか。私も山は登るんですけれど、そむぎはまだ登っていなんです。日帰りでも大丈夫なんですか。」と質問された。
 車で行くと効率的に登る事ができるかもしれない。でもバスを使った非効率な日程も、得がたい体験ができるものだ。

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