渋い山、小川山2009/11/02 07:26

畑の向こうに小川山の針峰群を望む
 週末の小川山は好天に恵まれた。小川山はクライマーには知られた存在で、中腹にはするどい岩峰がたくさんある。バスを下りた川端下からの車道歩きでは、高原野菜を作る畑の上に、シャモニー針峰群を思わせるようなとがったピークが連なり、他ではちょっとありえない景色を見ることができた。
 小川山本体は樹林に覆われていて、展望に恵まれたところは少ないものの、ところどころの岩場からは周囲の山々を見渡すことができた。特に登りの信州側、廻目平からの道は、梯子や岩場が有り、変化に富んでいた。岩場のところでは登ったり下ったりを繰り返した。
 道を間違えたのも、そんな下りの梯子のところだった。一本梯子を下ったあと、もう一本下にある梯子を見落としたのだった。岩場の尾根伝いに踏み跡があり惑わされてしまった。ご丁寧にしばらく進んだところに赤テープもあった。あとで考えると、これはクライマー用に下りルートを示すためのものだったようだ。上り詰めると岩の上に出て進退に窮した。結局、梯子のところまで戻り20分ほど損をした。
 そんな変化の多かった小川山も山頂付近は樹林に覆われて渋い山だった。山頂から南の稜線ではところどころの岩場から周囲を見渡せて素晴らしかったが、撮った写真はというと信州側からみた平凡な金峰山ばかりで代わり映えのしないものばかりだった。登山者にも予想通り会わず、静かな山だった。苔むした倒木の間のシラビソやコメツガ、シャクナゲに覆われた道をひたすら歩く、いかにも渋い奥秩父の山だった。

秋の山を楽しみに2009/11/06 07:24

 週末は岡山県の後山に行く予定だ。今回はガイドブックを何回も読んだり、地形図を買ったりして事前準備に少し時間をかけた。そのせいもあり、いつもより行くのが楽しみだ。急に行く事を決めて下調べ不十分で行くより、どうも準備に時間をかけた方が期待感も大きくなるようだ。
 幸い天気も良さそうなので秋の山を楽しんでこようと思う。

予定を立てる楽しみ2009/11/11 21:49

星山へ向かう稜線で星山を望む
 週末の岡山県の山登りは、遠くに行くこともあって、いつもより時間をかけて計画を練った。ところが時間をかけて計画を作ったからうまく行ったかと言うとそうでもなかった。まず、沼津駅から夜行のサンライス瀬戸に乗り込んだら、いきなり次の富士駅で止まってしまった。富士川駅との間で人身事故があったとの事だった。出だしから今回の計画は不調だった。列車は1時間20分程停車した後にようやく動き出した。おかげで、翌朝、智頭急行下車駅の大原に着いたときは約1時間15分遅れになった。タクシーには後山バス停までの予定を変更し、登山口のキャンプ場まで入ってもらった。これで約40分挽回する事はできた。
 さて登り始める段になりプリントアウトした計画表を見てびっくりした。うっかり今回とは逆コースの予定をプリントアウトしていたのだった。時間をかけて色々なコースを検討したのが返ってあだになったようだ。とりあえず下山する駅の時刻を携帯で調べてから登り始めた。いつもより少し早めに歩き、無事山登り終了。調べた列車に余裕を持って駅に到着。ところが駅に着く直前に気が付いた。調べた列車は計画立案時の列車より一本早かったのだ。おかげで乗換え駅の佐用での接続が悪く、次の列車に追いつかれてしまった。もっとゆっくり山を楽しめたのに。
 二日目は中国勝山駅の北にある星山。宿泊した津山からJRで中国勝山駅まで行き、バスを待っていた。バス時刻を眺めていたら、17:25発の岡山行きバスがあることに気が付いた。予定の16:52のJRで岡山に出たとしても同じ新幹線になる。予定を変更してバスにすることにした。おかげでこの日ははゆとりのある行程になり、星山登山無事終了。首尾よくバス発車の10分前に中国勝山駅に到着した。バスに乗り込み、くつろいだ。やがてバスは高速道路に入り、渋滞に巻き込まれてしまった。「車に乗る人は忍耐があるな」などと最初は余裕が有ったが、渋滞が長引くにつれて少しあせってきた。予定の新幹線は三島へ行ける最終で、のがすと静岡行になってしまう。もう少し早く歩いてJRに乗るべきだったと後悔した。結局バスは渋滞に30分ほど巻き込まれた後、ようやく開放された。その後、バスは遅れを少し取り戻したようで、岡山には20分遅れで着いた。予定の新幹線の10分前だった。
 予定は大事だと思うけれど、予定を立てるのに時間をかけたからと言って予定通りになるとは限らない。それがまた予定を立てる楽しみの一つだと思う。

初冬の山をのんびりと2009/11/20 20:21

 雨が降るたびに山は冬に近づいている。三島から見る富士山も雪がだいぶ下の方まで積もり宝永山の下あたりまで真っ白になっている。今朝は一段ときれいな富士山だった。会社のトイレの窓から見える南アルプスも白くなっていた。高い山は冬を迎えているようだ。
 週末は東北の山へ行く予定だ。東北の山々もすでに冬で登るには少し季節が遅すぎるかもしれない。今回は山登りと言うより忘年会と旅行のついでに少し山を歩くと言った感じだ。あくせく登らずに初冬の山をのんびりと歩いて来ようと思っている。

鯨山の上で2009/11/25 21:20

鯨山の山頂で
 週末の山登り、ちょっと節約のため三島から東京まで在来線で移動した。在来線だとけっこう車窓を楽しめるものだ。どうも移動の速度が遅くなるほど楽しみが増加するようだ。飛行機は乗っている間とても退屈だ。新幹線は少しまし。在来線の各駅停車だとけっこう車窓を楽しめる。これが徒歩となると回りをきょろきょろ見ながらとなる。観光するとき歩かない人はいないだろう。山登りなど究極の観光と言える。
 それにしても釜石の山は遠かった。山形に行ったついでに他の東北の山もと選んだけれど、山形から釜石まで5時間以上かかった。各駅停車の旅行は楽しいと言ったけれど、それは明るいうちの事。真っ暗な中では心の中も寂しくなる。駅の近くだけわずかに明るいところがずっと続く。この先に都市が本当にあるのかしらと思った。それでも釜石が近づくとアパート群やパチンコ屋のネオンが現れ、車窓が多少にぎやかになった。
 色々な山に登っていると、たいていの山で思いもしなかった発見をするのは驚きだ。釜石の北にある鯨山での発見はロープの太さだった。普通の山だったらロープの太さは1cmくらいのものだろう。ところがここでは3~4cmもある。ためし親指と小指で輪を作ってつかんでみたら重なり合う部分が1cmくらいしかなかった。こんな太いロープは何に使われているのだろうかと考えているうちに思いついたのは船をつなげておくロープだった。さすが海の近くの山。鯨山だけの事はある。それにしても、いくらこの手のロープがたくさん余っているとは言え、山に運び上げるのは重労働に違いない。
 山頂からは海が見えた。ぽかぽかとした日にあたりながら、鯨の上に乗ったような気分で早めの昼食を食べた。

名前の分からない山へ2009/11/27 20:35

 週末は忘年会で長野県の南相木村にある大蛇倉山へ行く予定だ。実はこの山、あまりにマイナーな山のせいか、読み方が良く分からない。「だいじゃくらやま」なのか「だいだくらやま」なのか「おおだくらやま」なのか。インターネットで調べると日本分水嶺にある山のせいか、記事はけっこうある。ところが漢字で大蛇倉と書いてあるだけで読み方まで書いていない。現地に行ったら確認してこようと思う。

誰も来るはずのない山頂2009/11/30 20:34

大蛇倉山山頂にて
 週末は大蛇倉山へ行った。この山、読み方が分からなかったので宿で読み方を尋ねたら。受付の人も分からず奥に聞きに行ってくれた。「だいじゃぐらと言われているそうです」との回答だった。とりあえずは一件落着。忘年会で英気を養い翌日に備えた。
 翌日は、まず南相木ダムまで車で移動。このダム、近頃話題の無駄なダムとは違いちゃんと目的が有って東京電力が4年前に作ったものだ。メンバーの一人、東京電力のT氏によれば、このダムは揚水式発電のためのもので、夜の電力の余ったときに神流(かんな)川にあるダム湖から水をくみ上げ、電力の足りない昼に再び水を神流川に戻しながら発電しているとの事。原子力発電は出力調整が難しいので、その分を水力発電で調整しているとの事だった。T氏は「きれいなダムだ。地下にある発電所には4回くらい行っているがここに来るのは初めてだ。」と感激していた。なるほど、ここにたまった水はすべて太平洋側からくみ上げたものなのだ。そういえば、周辺の谷から流れた水はわざわざダム湖の周りに掘られた水路で混ざらないよう下流へ流しているのも手が込んでいる。
 社会科見学はこれくらいにして、いよいよ山登り。沢沿いの踏み跡をたどった。最初の二股は地形図と高度計、磁石を見比べ、まっすぐ進むべきと正しい判断をし、次の二股で首尾よく右に入った。涸れた沢を登りつめると稜線に出た。予定では山頂から北へ派生する国境稜線へ出るつもりだった。予定の場所なら右手に山頂があるはずだった。ところが右手には高い山はなかった。はたしてここはどこなのか。5分ほど地形図と高度計、磁石を見比べて検討した。山頂から北西に派生する尾根上が現在地に違いない。そうと分かれば左手の高い方へ登れば良い。岩に突き当たったところから更に左を巻き、最後はシャクナゲの茂る急坂を登って山頂に着いた。体力より判断力が必要な山だった。
 誰も来るはずのない山頂にシートを広げ、暖かな日をあびながら忘年会の続きを楽しんだ。