誰も来るはずのない山頂2009/11/30 20:34

大蛇倉山山頂にて
 週末は大蛇倉山へ行った。この山、読み方が分からなかったので宿で読み方を尋ねたら。受付の人も分からず奥に聞きに行ってくれた。「だいじゃぐらと言われているそうです」との回答だった。とりあえずは一件落着。忘年会で英気を養い翌日に備えた。
 翌日は、まず南相木ダムまで車で移動。このダム、近頃話題の無駄なダムとは違いちゃんと目的が有って東京電力が4年前に作ったものだ。メンバーの一人、東京電力のT氏によれば、このダムは揚水式発電のためのもので、夜の電力の余ったときに神流(かんな)川にあるダム湖から水をくみ上げ、電力の足りない昼に再び水を神流川に戻しながら発電しているとの事。原子力発電は出力調整が難しいので、その分を水力発電で調整しているとの事だった。T氏は「きれいなダムだ。地下にある発電所には4回くらい行っているがここに来るのは初めてだ。」と感激していた。なるほど、ここにたまった水はすべて太平洋側からくみ上げたものなのだ。そういえば、周辺の谷から流れた水はわざわざダム湖の周りに掘られた水路で混ざらないよう下流へ流しているのも手が込んでいる。
 社会科見学はこれくらいにして、いよいよ山登り。沢沿いの踏み跡をたどった。最初の二股は地形図と高度計、磁石を見比べ、まっすぐ進むべきと正しい判断をし、次の二股で首尾よく右に入った。涸れた沢を登りつめると稜線に出た。予定では山頂から北へ派生する国境稜線へ出るつもりだった。予定の場所なら右手に山頂があるはずだった。ところが右手には高い山はなかった。はたしてここはどこなのか。5分ほど地形図と高度計、磁石を見比べて検討した。山頂から北西に派生する尾根上が現在地に違いない。そうと分かれば左手の高い方へ登れば良い。岩に突き当たったところから更に左を巻き、最後はシャクナゲの茂る急坂を登って山頂に着いた。体力より判断力が必要な山だった。
 誰も来るはずのない山頂にシートを広げ、暖かな日をあびながら忘年会の続きを楽しんだ。