思索の山2016/05/31 20:43

長九郎山へシャクナゲの花を踏みながら
 観光をしていて、何かを見たとき、知識があると無いとでは大違いだ。きれいな景色とか、うまいものを食べたとかは知識が無くても楽しめるが、たとえば戦国時代の真田氏の城だったとか、オバマ大統領が折ったツルだとか、知識が有ると同じものを見ても感じ方が全く違うだろう。長九郎山は、楽しむには少し知識が必要な山だった。
 当日は曇りで山頂付近は霧だった。景色を楽しむとの目的だったら失望したに違いない。登山口の宝蔵院の建物に向かう道には左右に100体ほどの石仏が並んでいた。江戸時代からのもので、村人が一体一体作ったらしかった。その由来をもっと知っていたら、感動は更に深まっただろう。八瀬峠への登山道は、杉の植林帯が続いていた。人の背丈くらいの所には白い花がたくさん咲いていた。私一人だったら「白い花が咲いていた」で終わったろうが、今回は花の名前に詳しい同行者がいて「コアジサイ」と「ガクウツギ」と教えてもらった。私自身が知っていたのは足元に咲いていた「フタリシズカ」だけだった。
 八瀬峠からの登りでは、シャクナゲが多かった。事前の調査では、これはキョウマルシャクナゲで5月連休頃に咲くそうだ。ほとんど花は落ちていたが、花が残っている枝も一つだけ有った。しばらくシャクナゲの木は途絶え、ヤマツツジがところどころに咲くだけの森になった。木の名前を多く知っていたら、もっと楽しめただろう。シャクナゲは山頂直下になってまた現れた。こちらは目当てのアマギシャクナゲで花を落とした木が多かった。足元に落ちている花の風情を楽しんだ。幸い花の残っている木もわずかながら有った。山頂付近には赤いドウダンツツジが有った。てっきりサラサドウダンツツジと思ったが、帰ってきて調べるとチチブドウダンだった。
 展望も無く、木ばかり眺めていたが、哲学的味わいの深い思索の山だった。

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