大キレットを歩く2018/08/17 14:40

大キレットと槍ヶ岳
 槍ヶ岳へ向かう道と分かれ南岳への道に入ると人がめっきり減った。静かになった道を氷河公園まで登った。天狗池からの槍ヶ岳はあいにくと雲の中だった。休んでいるうちに雨が降り出した。レインウェアを着て登り続けた。気が滅入るような本降りの雨になった。横尾尾根のコルで一休みしながら、このまま登るかどうか少し迷った。ちょうど、青いレインウェアを着た35歳位の細身の女性が下りてきたので稜線の様子を尋ねた。「稜線は風はそれほどは強くはない」との事だった。「槍ヶ岳から南岳小屋まで行って、コーヒーを飲んでから下りてきたけれど、南岳小屋では土砂降りでした。台風が心配で一日早くしたけれど、来る日を間違えましたね~」と話していた。「少しどうするか考えます」と返事して別れた。迷っているううちに小降りになってきた。気を取り直して登り続ける事にした。稜線に出てからは霧の中を南岳小屋まで歩いた。テントを張って休むうちに土砂降りになった。
 翌朝は前日の雨が嘘のように晴れていた。ヘルメットをかぶり、「大キレット」の名前を意識して少し緊張しながら歩き始めた。最低コルを越え、後半になる頃に、ようやく慣れて落ち着いてきた。長谷川ピークでは、ちょうど反対側に歩く人たちとのすれ違いが有り、手も使って四つん這いになりながら岩の上で交叉した。「A沢コル」のベンチで一休み後は、急な登りが続いた。一箇所、腕力も使いながら登る岩場が有った。最も難しかったところで、ここが「飛騨泣き」だろうと思った。やがて北穂高小屋が頭上に見えてきた。見えた後も急登が続き、なかなか小屋は近づかなかった。
 ようやく北穂高小屋のテラスに着いた。緊張感から解放され、歩き通した達成感を感じた。テラスでは大キレットを歩いてきた人たちがコーヒーやビールを飲みながら思い思いに休んでいた。コーヒーを注文し、テラスで通ってきた大キレットを眺めながら休んだ。テラスから下をのぞき込むと、こちらに向かってくる人たちのヘルメットが見えた。大キレットの先の槍ヶ岳は、あいにくと雲の中に隠れてしまった。
 コーヒーを飲みながら絶景を楽しむうちに、あっというまに45分ほどが経過した。いつの間にか霧が出てきた。テラスを出発する頃には絶景はすっかり霧に覆われてしまった。

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