五島列島の大瀬崎にて2017/11/28 13:45

玉之浦にて
 福江からのバスは1時間以上かかって大瀬崎口に着いた。バスを降りて登り始めた。10分程車道を登った後、歩道に入った。更に30分程登って再び車道に出たところが大瀬山のすぐ下だった。わずかに階段を登ると大瀬山山頂に着いた。周囲の見晴らしが良く眼下には大瀬崎の燈台が見えた。風が強く、窪地に入って風を避けながら休んだ。
 一休み後、灯台に向かってコンクリート舗装された遊歩道を下っていった。標高差約200m、長さ約1.2kmの歩道だった。照葉樹林帯の中で風は無かった。最後に照葉樹林帯が終わると草地になって目の前に燈台が見えた。階段を10mほど登ると燈台の下に着いた。周囲は50m程の断崖で三方を海に囲まれて眺めが良かった。少し風が強かった。帰りは遊歩道を登り返し、大瀬山からは車道を下って大瀬口に戻った。帰りのバスまで1時間以上有るので、10分ほど歩いた玉之浦の集落まで足を延ばすことにした。
 玉之浦には1軒だけ食堂が有った。中に入ると50歳代の女主人が奥から顔を出した。「ちょうど終わったところだけれど簡単な物なら作れる」との事だったので皿うどんを注文した。小さな集落にしては小綺麗な食堂だった。5分ほどで皿うどんができた。食べながら女主人と話をした。岬に行ったか聞かれたので「燈台まで行きました」と答えると映画「悪人」のロケの話になった。「あそこで3ヶ月ロケをしたんですよ。お弁当を毎日届けたんです。主役のTさんには近づけなかったけれど上から見たら遠くだったけれど金髪だったんで分かりました。ロケが終わった時に五島には映画館が無いと伝えると、すぐにDVDを送ってくれたんです」と話してくれた。ご主人を早くに亡くし、「ここさえ有れば食べていけるから」と残してくれたのが、この食堂との事だった。「次男に次いでもらうつもりだったけでど、東京の料亭で勉強したいと希望したので許したら、結婚して子供までできてしまった。もう戻ってこないだろう。」と少し寂しそうに話していた。
 食堂を出た後、まだ時間が少し有ったので、海岸沿いの道を少し歩いてみた。入り江になっている港には漁船が十隻ほど浮かんでいた。堤防には50歳くらいの男性二人が長い竿を使って器用にウニを捕っていた。道を挟んで港とは反対側には教会が家の間に挟まれて建っていた。静かな港に面した白い教会を見ながらバスが来るのを待った。

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