函館山に登る2017/02/05 18:26

立待岬
 北海道新幹線を利用して函館駅に着いたのは11時25分だった。雪で滑りやすくなった道を歩いてホテルまで行き荷物を預けた。近くのラーメン屋で昼食の塩ラーメンを食べ、市電に乗って函館山の最寄り駅の宝来町に向かった。市電を下りたのはちょうど函館に着いた1時間後の12時25分だった。林道ほどの道幅の有る旧登山道を登って行った。積雪は10~30cmで、しっかり踏まれていた。登山靴でそのまま登ることができた。山頂には14時10分に着いた。山頂標識前には誰もいなかった。少し風が冷たかった。景色を楽しんでいたら、我々につられてロープウェイ駅の中から観光客が数人出てきた。
 山頂からは平坦な道を歩き、千畳敷へ進んだ。ここにはあずまやが有り、椅子に腰掛けて一休みした。千畳敷の少し先からはジグザグの下り登山道(七曲がりコース)になった。上部では積雪約30cm、下部では積雪約10cmで、しっかりとしたトレースが有った。七曲がりコース出口からはからは15分ほど歩いて立待岬に出た。冬の間、車両通行止めとなっている岬周辺には誰もいなかった。石で作られた標識が寂しげに立っているだけだった。函館山の陰になるせいか幸い風は無かった。
 立待岬から函館市街方向に向かうとすぐに共同墓地だった。木が無く、雪に覆われ、海も見える墓地は明るい雰囲気だった。40歳くらいの小犬を連れた女性とすれ違ったのであいさつした。犬は胴のところに汚れ防止のためか服を着ていた。墓地が終わると市街地だった。少し坂が有り、滑りやすい道をゆっくりと歩いた。市電終点の谷地頭駅では、あいにくと電車が出発したばかりだった。待合室に入ってストックなどを片付けながら待っていると明かりがぱっと点いた。時計を見ると17時だった。待つ事7-8分、乗客も7-8人集まった頃に次の折り返し電車がやって来た。
 ホテルに戻り、荷物を置いてから、近くの居酒屋で海産物に舌鼓を打った。歩き回ったのは半日だったが、十分函館の街を堪能した一日だった。

雪降る庄司山2017/02/06 17:29

庄司山からの下り
 函館の二日目は庄司山登山だった。登山口に近い桔梗駅にはタクシーはいなかったので携帯電話で呼び出した。あいにく運転手は目的地が分からなかったので営業所に確認してもらった。タクシーには除雪終了点まで入ってもらった。積雪は約30cm有り、歩き始めからワカンを付ける必要が有った。尾根末端に到着すると別のルートからやってきた1-2日前の足跡が有った。尾根に取り付いてからは足跡を利用して無事山頂に着いた。
 この日は午後から天気が崩れるとの予報だった。山頂を出発した12時ちょうどに予報通り雪が降り出した。尾根末端まで下りて地形図を確認すると別のルートをやってきた足跡の方角には病院が有った。病院ならタクシーを呼んだ時に場所を教えるのにも都合が良さそうだ。もしかしたら路線バスや無料の送迎バスが有るかも知れない。と足跡に従って登りとは別のコースを下りることにした。
 森の中の道はやがて畑の中の道になった。足跡は途中で曲がってしまい、雪降る中、足跡の無い道を病院に向かう事になった。見渡す限り真っ白な畑が続き、この先に本当に病院が有るのかと思うほどだった。やがて道は下りになり、川沿いに集落と病院が見えてきた。病院は少し小高い場所にあり、登って行く気になれなかったので、病院に登る車道の入口でタクシーを待った。雪はすっかり本降りになっていた。時々、病院を出入りする車が通って行った。バイクに乗った郵便配達人もやってきて、両足を道路上に滑らしながら器用に走って行った。20分程待つとタクシーがやってきた。ようやく暖かい車内に入ることができた。
 桔梗駅では、次の列車まで1時間近く有った。「とりあえずメインストリートまで出てみよう。コーヒーでも飲むか、それとも、もしかするとバスが有るかも知れない。」と荷物を持って国道まで出てみた。バス停まで行ってみると、ちょうどバスの時刻だった。すでに行ってしまったか不安になったが、「あと5分でバスが来ます」との電光表示が出ていた。待つほどのことも無くバスに乗り込み函館駅に戻る事ができた。

蓴菜沼にバスで行く2017/02/08 20:00

蓴菜沼
 函館の三日目、朝の気温は-10.2℃だった。予想最高気温は-5℃だった。冬型気圧配置の峠は越したとの事だったが、寒い朝だった。予定通り蓴菜沼(じゅんさいぬま)に向かうことにした。
 函館駅前からのバスは途中で何人か乗客を乗せ、8割ほど座席が埋まった。運転手から、「走行には支障がありませんがシステム系統の故障が有るので念のため本日は『ガス会社前』バス停で車両の交換をいたします」と案内があった。バス車内で待つ事約10分で交換のバスがやってきた。運転手と一緒にバスを乗り換えた。走り出すと運転手から「ただいま13分遅れです」との案内があった。
 道は片側2車線の広い道だった。ちょうど朝のラッシュアワーで反対側車線は函館市中心部へ向かう車で渋滞していた。「大変だな」と思っていたら、やがてこちらの車線も渋滞し始めた。一つのバス停を進むのに5分近くかかるほどだった。函館の市街地が終わる頃、ようやく渋滞が解消されスムーズに動くようなった。運転手より「ただいま30分遅れています。各学校、職場には営業所より運行遅れの連絡をしていますのでご安心ください」との案内があった。バス停ごとに乗客が無言でバスに乗ってきたりバスから下りたりした。学校近くの停留所では4-5人の高校生が下車し、何事も無かったかのように、ゆっくりと学校へ向かって行った。この寒い中、30分遅れのバスに乗らなければならないなんて、函館に住むには、つくづく忍耐力が必要だと思った。
 最終的にバスは35分遅れで蓴菜沼に着いた。本来のバス停は除雪の雪で半ば埋もれていた。「ちょっと待ってください。雪に埋もれて危険なので少し先に進みます。」と20mほど先の広い場所で下ろしてくれた。危険と言われた埋もれたバス停まで戻り、除雪の山を乗り越え、樹林の中に入ってスキーを履いた。斜面を滑り降り、蓴菜沼に下り立った。行く手の湖面にはビニールハウスのようなワカサギ釣りの管理棟が有った。管理棟に寄っていたのでは、ますます遅れてしまうので、そのまま蓴菜沼の最奥地を目指してスキーを滑らす事にした。管理棟の煙突の煙が暖かそうだった。

日暮山から列車で帰る2017/02/12 20:13

日暮山から大沼、小沼、駒ヶ岳を望む
 広々とした蓴菜沼を後にし、林の中を横川バス停までスキーで滑った。横川バス停からはスキーを脱いで車道を15分程歩き、日暮山入口に着いた。日暮山への最初の登りは林道だった。スキーで登った。途中でワカンに履き替え、林道を離れて急斜面を日暮山山頂へ直登した。山頂からは大沼、小沼の箱庭のような景色を堪能した。往路を横川バス停に戻った。
 バス停では30分ほど待って、森方面に向かうバスに乗り込んだ。10分程で「駒ヶ岳駅前通り」バス停に着いた。ポツリポツリと人家のある駅前通りを5分ほど進むと駒ヶ岳駅だった。跨線橋を渡ると待合室があった。暖房設備は無かったが、隣りの部屋から伸びる煙突が室内を通っていて暖かだった。やがて休憩時間が終わったらしく隣の部屋から3人ほどの保線作業の職員が出てきた。我々を見ると驚いた様子で「山に行ってきたのか。しばれたろう」と言った。しばらくすると我々が乗る1両だけのワンマンの各駅停車が着いた。
 各駅停車の他の乗客は2人だけだった。列車は雪の森を進んで行った。同行者は着替えをしてくると洗面所に向かって行った。車窓を流れる雪景色に見とれていると、急に森が開け大沼、小沼が見えてきた。こぎれいな店が現れると、すぐに大沼公園駅に着いた。ホームは50人以上の観光客であふれていた。車両はあっという間に満席になり立つ人も出てくる程になった。言葉使いから、どうやら中国からの観光客の様子だった。やがて着替え終わった同行者が目を丸くして戻ってきた。気を利かした中国人観光客が席を移動してくれたので幸いにも二人で並んで座ることができた。
 ほとんどの乗客が函館駅までの様子だった。新函館北斗駅では、立っている乗客の間をあわててかき分け何とかホームに下り立つ事ができた。新幹線の時刻までは1時間20分ほど有ったのでレストランでホットワインを飲んで祝杯を上げた。

赤久縄山の帰りに2017/02/15 08:25

赤久縄山山頂から御荷鉾山を望む
 万場でバスを下車し県道を赤久縄山へと登り始めた。前夜の雪がうっすらと積もっていた。車道を1時間半以上歩くと登山口だった。登山口付近は約1cmの積雪だった。
 登山道は雪があちこちで付いていた。途中の急なところでは軽アイゼンを付けた。稜線に出ると風が強かったのでレインウェアを着た。山頂付近は根雪が残っていて積雪が30cmくらい有った。山頂からは東隣りの御荷鉾山(みかぼやま)が見えた。帰りは往路を戻った。谷間の県道は雪が溶けずに残っていた。滑り止めの砂がまかれたようで行きの我々の足跡に風に吹かれた砂がたまっていた。
 万場集落には食堂が有った。「営業中」の札が出ていたので入ってみた。あいにくこの日はご飯は売り切れだった。ラーメンならできるとの事だったので注文した。せっかくなのでビールも注文した。芋がら(里芋の茎)など手作りの料理がお通しで出た。ラーメンには蟹のかまぼこが入っていた。
 すっかり良い気分になってバスに乗り込んだ。発車してしばらくして万場のバス待合室に手袋を忘れた事に気が付いた。

太東崎灯台への途中で2017/02/17 20:36

津々ヶ浦
 東浪見(とらみ)駅から20分ほど歩くと九十九里浜の南端近くの東浪見海岸に出た。波は少し高くサーフィンをしている人が30人ほどいた。東浪見海岸の南には岬町ハイキングコースが有った。あいにく3月下旬まで工事中で閉鎖されていた。やむなく車道を迂回して津々ヶ浦に向かった。
 長さ30mほどのトンネルを出ると津々ヶ浦に着いた。釣りをしている人が3人ほどいた。一休みしようとあずまやに向かうと、ちょうど犬を連れた70歳くらいの少し日焼けした男性が反対からやってきた。「こちらの方が暖かいですよ」と、あずまやの日なた側のベンチに有った貝殻をどけてくれた。お言葉に甘えて日なた側に男性と背中合わせに並んで座る事にした。昼食のおにぎりを食べながら、どこから来たか尋ねると「江東区の砂町に家が有るけれど、今はこちらに一人で住んでいる。家族は少し心配しているけれど、運動ができるのでこちらの方が過ごしやすい。」との返事だった。
 しばらくすると一人の釣り人が30cm位の魚を釣り上げた。「アジですか」と聞くと「あれはイシモチだ。このあたりではイシモチが良く釣れる。」と教えてくれた。やがて男性は犬の散歩の続きで立ち去っていった。他の人がいなくなったあずまやで、ポットのお湯でコーヒーを入れ、海を見ながらゆっくりくつろいだ。
 津々ヶ浦から少し歩いて高台に登ると太東崎灯台だった。スイセンが咲いていた。北にも南にも海岸が続いて見えた。海からの風がさわやかだった。

御嶽山(みたけやま)からの帰り道2017/02/23 20:06

神流川の堤防で御嶽山を振り返る
 2/20に埼玉県北部の御嶽山(みたけやま)に登った。山頂からの下りは「不動の滝」へ向かう事にした。最初進んだ道は少し方角が右寄りだった。道の間違いに気付き山頂まで引き返した。約15分のロスだった。山頂から今度は「秋葉神社、わたらせ」の標識の示す方向に向かった。すぐに分岐が有った。「秋葉神社、新宿」の標識の方へ向かった。最後に「秋葉神社」と「新宿」の分岐が有り「新宿」の方へ向かった。麓近くで目指す「不動の滝」に出た。水がチョロチョロ流れるだけの滝だった。車道に出たところが「新宿」交差点だった。
 交差点を渡ろうとすると70代後半の高年者の運転する車が目の前をのろのろと通過して右折していった。信号無視だった。推測するに赤信号で止まったにもかかわらず、止まった理由を忘れてしまい、そのまま発車したものらしかった。高年者の物忘れには困ったものだ。
 交差点からは神流川の堤防に出て、車の通らない道を下流へと歩いた。鉄アレイを右手に持った小柄な30歳位の早足の男性とすれ違った。堤防はトレーニングには手頃な散歩道らしかった。予定では八高線の鉄橋近くまで堤防を歩くつもりだったが、あいにくと雨が降ってきた。途中で堤防を離れ近道をして八高線の丹荘(たんしょう)駅へ向かった。雨は次第に本降りになり最後の5分だけ傘のお世話になった。
 丹荘は無人駅で待合室には誰もいなかった。列車の時間まで約25分有った。傘を広げて乾かすことにした。ホームへの入口の上には液晶の表示があって、高崎~高麗川間の八高線のどこを列車が走っているか表示されていた。隣りの児玉駅に列車が着く頃に一人二人と乗客が集まってきた。傘を広げたままだど邪魔なので閉じて椅子に立てかけた。やがて何のアナウンスも無く2両連結の列車が到着した。ICカードを「入場」のポールにタッチしなければと思って腰を上げると同行者から「傘、傘」と言われた。あやうく「忘れ物をしない」とのこの日の目標を達成できなくなるところだった。